1.はじめに 国際コミュニケーションの中では、ナショナル・イメージは旗のような存在であると言ってもよい。その上、新聞はナショナル・イメージを描く機能を担当すると見なされている。歴史的にみると、相手メディアの中で中日双方のナショナル・イメージの良し悪しは中日国関係の良し悪しを反映する鏡のようなものである。中国のナショナル・イメージが日本の新聞でプラスと評判されるなら、両国の関係が親密であると分かる。逆に、マイナスになれば必ず何かの問題が起きていることを表わす。 新聞紙は保存しやすく、閲覧しやすく、ニュースをイン・デプス・レポートで報道しやすいなどの優勢を持っているため、日本の新聞発行量は多く、新聞は日本の主流的なメディアになっている。民意調査によると、約70%の日本国民がメディアの意見に左右されやすいという。世論の代弁者でありリーダーである日本の新聞がどのように中国のことを報道するのかは、強く日本民衆の思想を操り、さらに両国の関係に影響を及ぼす。 重大事件のニュースがメディアによってどのように異なる方式で報道されているのかを研究し、それでそのメディアのニュース・フレームを分析するのは、異なるイデオロギーのメディアの特徴を研究する主な方法である。本論文はニュース・フレーム理論に基づいて、日本主流メディアの中国保釣デモの報道のフレームを分析し、日本メディア業界のプロフェッショナリズムを透視してみたい。 2.報道記事の選択と分析方法 2.1 サンプルの選択 『朝日新聞』は日本において最も影響力のある全国的な新聞であり、発行量は2005年に世界日刊紙発行量でランキング第2位を取った。【1】読者は日本社会の中産階級(インテリ、国家公務員、高級技術職員など)に集中している。日本で中産階級は全国の60%-70%の人口を占め、彼らの意見は社会の世論を構成する。従って『朝日新聞」は日本全社会の観点を伝達する新聞であると思われている。『朝日新聞」は毎日出版され、日刊と夕刊の二つがある。日刊は通常28-40面で、ニュース版、経済版、国際版、金融情報版、文化版、スポーツ版、生活版、教育版、社会版などがある。『朝日新聞」は「不偏不党」を報道方針にして、高い信頼を寄せている。尖閣諸島の件をめぐって、『朝日新聞」はどのように中国国内の保釣デモを報道したのかは、研究価値が高いと見る。 9月11日に日本の野田内閣が釣魚島の国有化を閣議決定したことを受けて、中国側から猛烈な反発があり、保釣デモが中国各地で暴発した。本論文は9月12日から10月2日まで3週間の『朝日新聞」(日刊)の報道をサンプルにする。この期間中掲載された中国保釣デモに関係する報道、政治漫画、評論、写真及びグラフなどをもとにする。本論文では一「篇」記事を分析の基本単位にし、判断根拠は独立の見出し及びジャーナリストの記名が付いていることである。一篇記事は製版で二つ以上に版面で印刷されていれば、一つと見做す。入選記事は「デモ」「保釣」「抗議」「尖閣」などのキーワードがある記事で、客観性を保障するため、二回選別した。上記の方法でサンプルは75篇と確認した。 2.2 ニュース・フレーム・アナリシス法 フレーム理論はイギリス人類学者グレゴリ・バテソン(Gregory Bateson)が初めて提出して、アメリカ社会学者で記号論の代表人物エブン・ゴフマン(Erving Goffman)が文化社会学に導入した。ゴフマンの代表学術書「フレーム・アナリシス」(Frame Analysis)で、「フレームというのは、人間に使われて客観世界を説明する心理モデルである。私たちが現実生活経験を帰納、構造及び説明するのは全部特定のフレームに頼っている。フレームによって私たちはインフォメーションの確認、理解、帰納、説明することができる」【2】と発表している。フレーム理論がマックス・コミュニケーション学に導入されてから、すぐ流行して、ニュースの内容分析法分野に用いられるようになった。本論文のニュース・フレーム・モデルは、下記のようである。 事件 背景 事件 実況 事件 後続 事件 背景 事件 実況 事件 後続 位置 体裁 テキスト 取材 地点 情報源 入手源 ニュース 内容 報道 論評 態度 記事数 位置 体裁 テキスト 取材 地点 情報源 入手源 ニュース 内容 報道 論評 態度 記事数 図1